睡眠不足の影響

睡眠不足が体に良くないことは分かっているという方は多いでしょうが、その具体性についてはどうでしょうか。

気になる死亡率との直接的な関係についてと、死に近づく一因となるさまざまな病気について順にお教えします。

睡眠と生命維持

一説によると睡眠は栄養の摂取よりも重要であると言われ、すでに幾つかの調査によって睡眠不足が続いている人は十分な睡眠をとっている人と比べて死亡率が3.2倍に跳ね上がることが分かっています。

また、マウスを使った実験でその具体性についても明らかにされていて、マウスの睡眠を完全に遮断した場合、極端な衰弱と体温調節の不良、脳内の視床部分に損傷が生じ、食物を与えなかったマウスよりも先に、約1~2週間で死亡したとされています。


人の場合でも、断眠を続けると思考能力が落ち、妄想や幻覚が出て、相当期間、強制的に眠らせない状態でいたならばおそらく死亡すると言われています。


睡眠とガン


よく眠れない人はそうでない人に比べて4.7倍も発がんリスクが高いと言うデータがあります。そのデータによれば、寝つくまでの時間が長い(30分以上)、いびきが治らない期間が3年以上である、起床時に疲労感があるなどの睡眠に関する症状も発ガンリスクであると認められています。


睡眠と脳卒中・心筋梗塞


血圧は日内変動があり、夜は日中に比べて10~20%下がるのが正常で、下がり方が10%未満の場合は良くないとされています。


睡眠が少ないと心拍数が上昇して心肺機能に負担がかかり、血圧が下がりにくく、異常数値になりやすいことが分かったのです。よって当然ですが、心拍数や血圧が正常な人と比べると正常でない人が脳卒中や心筋梗塞になる可能性は2.4倍にも上がります。


睡眠と精神


睡眠不足は心の余裕をもなくします。不眠症の人とそうでない人を比較すると5倍も不安や気分の落ち込みを感じやすく、睡眠時間が少ない人は自分に自信が持てなくなり、自分のこなした仕事を過小評価する傾向にあることが分かっており、睡眠時間が不足しているほど暴力的になるという実験結果もあります。


特にうつ病と睡眠の関係が根深いことは広く知られていることで、うつ病の前兆として突然眠れなくなることがあり、うつ病の患者さんのほとんどは不眠症に悩んでいますし、逆に睡眠不足がうつ病を招くこともあります。ですから普段からしっかりと睡眠をとっておくことがうつ病の予防には大切なのです。


睡眠と糖尿病


睡眠不足により糖分を分解するインシュリンの働きが低下する為、糖尿病にかかるのは睡眠不足が原因の一つであるとされています。


また、糖尿病とはいえないまでも予備軍である人に共通する生活習慣として睡眠が良くないことが多いそうです。ある実験では、睡眠不良のグループは総コレステロール値や中性脂肪値も高くなっていました。


睡眠と脳の働き


前述したとおり、睡眠は脳の働きに深く関係しており、睡眠不足だと注意力、集中力、論理的思考能力、問題解決能力が落ちます。


仕事や勉強の効率が落ちるのは必至のこと、特に注意力が散漫になる為に車の運転による事故を起こしやすく、またそれを繰り返してしまうことが多いそうです。


なぜなら、睡眠中に脳は記憶を整理したり、定着させたりする役割を果たしていますので、睡眠不足だと日中に学んだり、経験したことをきちんと記憶できなくなってしまうのです。

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